サルから農地を守りたい!
サルは運動能力も知能も優れ、その防除は厄介です。金網は何の役にも立ちません。
一般的な電気柵を、段数を増やして(10段張りなど)サルを防除することもありますが、漏電必至で管理が大変でしょう。ただ、電気柵自体に感電させることができれば、十分に忌避効果を期待できます。そこで、いかにサルを感電させるかが工夫のしどころになります。
ただサルの場合、シカ・イノシシ同様の開口部(河川、道路など)からの侵入に加え、柵周りの樹木、構造物、電線などからの侵入もあり、これらをすべてカバーするのはなかなか困難ではあります。
そのようなことから、また、サル対策については様々な方法が考えられることから、できれば現場を拝見したうえで、実際の諸条件でベストな設計の提案をさせていただくのが理想です。また、サルの捕獲には非常に優れた方法が確立されていますので、専門家のアドバイスを受けながらの駆除(特殊囲い罠)もご検討ください。
対策例その1 金網+電気柵ワイヤー
サルが金網をラクラク登るのは当然ですが、その上に電気柵があればサルに効果のある柵となります。あっと言う間に柵の上部まで登ってしまいますので、なるべく乗り越えるまで時間が掛かるような構造にすることが必要です。そのためには、電気柵も金網と同一平面状に設置するのではなく、忍び返し状に設置するのがベターです。
また、電気柵ワイヤーの間をくぐり抜けるのを防止するために、繊維ネットで隙間を塞ぐという工夫もあります。金網は子ザルが入らないように、大きくても100×100㎜程度までの網目にする必要があります。
対策例その2 電気柵ネット+忍び返し電気柵
金網のデメリットは、構造がしっかりしているので、その部分に関してはサルにとっては非常に登りやすい、という点です。この点、繊維ネットは不安定で登り難い柵ですので、上まで到達するのに多少の時間を要します。その間に繊維ネットに編み込まれたステンレス線に流れるパルス電流に感電する可能性は非常に高いのですが、追い打ちをかけて上部に忍び返し状の電気柵を設置すれば万全です。
繊維ネットの電気柵はつる植物が絡むと管理が大変ですので、防草シートを併用するか、下部を金網にする等の漏電対策は必要になります。
番外編対策 金網+イノシカスライダー
試験結果にこうご期待!
シカやイノシシ等の偶蹄目の動物が滑りまくる未来のアグリの新商品、イノシカスライダーはサルも滑るのではないか?
そのような想像から、金網柵上部にイノシカスライダーを貼り付ける効果測定実験を開始します。以前、滑りやすいシートを金網上部に設置して効果を得たことがありますが、構造計算上上部をシートで覆う場合、かなりのゴツイ支柱が必要になってしまったので、普及に至っていません。イノシカスライダーなら風通しも良く、さほど太い杭はいらず、電気柵のような電圧管理も不要ですので、ひょっとするとひょっとします。結果が出るまで、こうご期待!